憑代の柩

 自分は家まで馨をつけたりはしなかった。

 ただあのファミレスに現れるときだけ見ていた。

 そうしなければ、家まで乗り込んでいってしまいそうだったから。

 それにしても、てっきり、一人でひっそりと暮らしているのだろうと、そっと見守っていたのだが。

 思っていたより、遥かにタフな女だったようだ。

 あの日、教会に着いたとき、もう事件は起きていた。

 花嫁も他の者も、すべて病院に運んだあとだった。

 どうしようと思った。

 奏に復讐されるはずが、何故こんなことに。

 馨に対して、申し訳ないと思った。

 そんなとき、要が妙なことを言い出した。

 顔と記憶を失った花屋の店員をあづさに仕立てて、犯人をおびき出したらどうだろう、と。

 要はあづさの正体を知っていた。

 整形外科医の目は誤摩化せなかったからだが。