憑代の柩

 



 衛はあづさと話す馨を見ていた。

 八代が彼女を助けたことは知っていた。

 その後のことは、彼女は心配いらない場所に行ったと告げられただけだったが。

 まさか、その八代のところに居たとは。

 かつて、馨は、自分は天才だから、一人でやっていけると、叔父たちに心配かけまいと言い放ったというが。

 本当に、こいつは何処ででも、やっていける、何処にで自分の居場所を作れる女だなと思った。

 或る日、ファミレスの近くで彼女を見かけ、後をつけた。

 同じ顔だったが、あづさではないことはすぐにわかった。

 馨は、八代が自分の居場所を教えてると思っていたようだが、そうではない。

 八代は決して、それを教えなかった。

 恐らく、会わせたくなかったからだ。

 馨がファミレスで働いているのを知ってから、ずっと、あの喫茶店から彼女の姿を見ていた。

 少ししたら、馨は居なくなったが、今思えば、あれはきっと、潜入調査中か何かだったのだ。