憑代の柩

「……もう居ません。

 少なくとも、私の前には、もう現れることはないと思います」

 成仏したわけではないようなので、その辺に居るのかもしれないが。

 もう私に姿を見せるつもりはないようだった。

 まあ、自業自得だな、と思った。

 奏は私のために復讐してくれようとしていたのに。

 衛を愛して、私の幻影に苦しみ、思い詰めて死んだ奏の霊の前で、私はまた衛を奪った。

 奏はあの毒薬を此処に持ち込んでいた。

 前の晩、何度もポーチの中のそれを確認していたようだし。

 最後まで、複雑な想いを抱えていたのだろうな、と思いながら、新しい台の置かれた部屋の隅を見る。

 そこに立ち、爆弾入りの花と知りながら、見つめていた奏の姿を思い浮かべた。