私は憔悴している八代から視線を移し、本物の佐野あづさに呼びかけた。
「あづささん、奏があの男を殺したのは、貴方のためでもあるんですよ」
だが、そう言った私を、佐野あづさは、きょとんとしたように見ていた。
「奏は貴方には、衛を殺すと言っいたのかもしれませんが、本当は自分が死ぬつもりでした。
だから、ついでに、世話になった貴方のために、『佐野あづさ』に付き纏う男を殺しておこうと思ったようです。
あの男、最初は貴方本人だと思って奏に近づき、正体に気づいて、いろいろと脅したようですが。
あれが貴方本人だったとしても、貴方を脅して同じことをするつもりのようだったようです。
貴方がご両親を殺したと疑っていたようなので。
だから、奏は、自分が居なくなったあと、貴方が佐野あづさに戻る気になったとき、困らないように、男を殺しておいたようです。
まあ、それだけが理由ではないようですけど」
「なんでそんなことがわかるのよ」
と言う彼女に、
「聞いたんです」
と告げる。
「あんたも見えるの?
便利な能力ね」
と言う彼女は、奏の力も知っているようだった。
「奏は今、何処?」
探るようにこちらを見ながら言う。



