憑代の柩

 行方不明になった妹の居場所を知りたいが、調査費用がないと彼女は言った。

 自分が彼女に深く関わるのは問題があるかもしれないと思い、少し教えてやるから、自分で調べろと言うと、馨はちょっと考え、

『そうですか。
 じゃあ、先生、私を雇ってください』
と言ってきた。

 さっきまで、上から物を言っていたのに、あっさりその態度を変えて。

 やはり女は恐ろしいと思った。
 
 いや、この女が、恐ろしい類いの女なだけなのか。

 そう思いながらも、逆らえない何かを感じていたのは、あのとき、既に心を奪われていたからか。

 水の中から助け上げた彼女の細い背中。

 濡れた服のせいで、そこに直に手が触れているように感じた。

 その感触が、ずっとこの両手に残っていた。