憑代の柩

「だけど、奏は本当に御剣衛を好きになったみたいで。

 前の住人が置いていた毒薬を見つけたとか言い出したの。

 冗談じゃないわ。

 また佐野あづさが人を殺す。

 だから、やめるよう言ったのに、あの男をも殺してしまった。

 だから、あんたがやめなきゃ、教会ごと爆破するって言ったの。

 脅しのつもりだったから、爆弾、解除する方法は教えておいたのに」

『わかったわ。

 だからね、おねえちゃんがこれ着て出てって、時間を稼いで。

 その間に私、姿を消すから』

 じゃあね、手を振った奏の顔が頭に浮かぶ。

 私は奏を信じて、あの場を離れるべきではなかった。

 あのとき、あの子は側にあった二つの花籠を見ていたのに。

 八代に奏が不穏なことを考えているようだと聞かされ、私は教会に彼女を止めに行った。

 奏は私が生きていたのなら、復讐はもうやめるから、自分が居なくなるまで、時間を稼いでくれと言った。