憑代の柩

「……貴方、誰か殺しましたか?」

「貴方は、もう全部わかってそう。

 私が別荘に火をつけて、それですべて終わりのはずだった。

 だけど、森から燃える建物を見てるとき、あの子に出会って。

 なんでかしらね。

 そのとき、あの子に気づかれたとわかったのよ。

 あの子も殺したいほど、誰かを憎んでいたからかもしれないわ」

「ご両親を殺したのは貴方だったんですね」

「ちょっと限界なほど口うるさくてね。

 殺したあと、後悔しなかったって言ったら嘘になるわ。

 だから、自分も殺してしまおうと思った」

 でも、あの子に出会ったから、とあづさは言う。

 殺人を犯した自分を誰よりも疎んでいたのは、佐野あづさ本人だったようだ。

 自分だったら、どうかな、と思う。

 似ていると思ったけれど、彼女の方が幾分、マシかもしれない。