憑代の柩

 恐らく、同じ整形外科医の仕事だと思うのに、あづさの方が妹の奏より、私に似ている。

 きっと、瞳の奥に垣間見える、人として何か欠落した感じか似ているからだ。

 鏡のように彼女を見ながら、要に訊いた。

「……あんたの仕事じゃないわよね」

「俺ならもっとそっくりに出来るぞ」

 ややこしくなるからやめてくれ、と思った。

 この顔が幾つもあることに、不快そうに衛の母は眉をひそめている。

「あの奇麗な顔、変えちゃったんですね、もったいない」

「仕方ないじゃない。

 貴方の妹の学力じゃ、あの大学通りそうにもなかったから」

「替え玉受験のために、わざわざ整形したんですか?」

「あの子の復讐に手を貸してやる約束をしたからよ。

 私も少し顔を変えていたかったし。

 御剣衛を脅すだけと聞いていたから、それも面白いかと思っていたんだけど。

 あの子、本当に人、殺しちゃうし。

 御剣衛も殺して終わりにするとか言い出すし。

 せっかく、奇麗なあの子に私の顔も名前もあげようかと思っていたのに」

「奇麗な?」

「そう。
 誰も殺してない、奇麗な『佐野あづさ』になってもらうために」
と彼女は嗤う。