憑代の柩

 


 私―― 咲田馨は要を膝に寝かせ、横でわめいている女を見た。

「離してよ、威っ。
 なんなのよ、あんたっ。

 一族の裏切り者のくせにっ。

 金目当てにあっちこっちへほいほいほい」
と自分を押さえ込んでいる巨体の眉墨威を怒鳴りつけている。

「……目を覚ましたばかりにしては、元気だな」
と威は呆れていた。

 要が少し上体を起こして言う。

「たぶん。
 早くに目覚めていたんですよ。

 我々の目を欺くために、じっとしてたんです」

「その女が来たからよ。
 あのムカつく声で、私を呼ぶからよっ」
と衛の母、真澄は私を指差す。