憑代の柩

「水沢ー、どうしたのー?」

 いつの間にか駆け出していた。

 先程入っていた花屋風の女。

 あの顔は――

 段々早足になる。

 祭壇のある扉を開けた。

 まだ誰も居ない。

 まだこちらに人は来ていないのか。

 そうか。

 花も控え室だ。

 爆発があったのも、控え室だし。

 衛とあの女が立つはずの祭壇を見る。

 彼女を大学まで、車で送ってきたときの衛の顔を思い出していた。

 衛が彼女を見る視線はあづさに向けられてたものとはまるで違っていた。

 衛の心は、あづさではなく、ニセモノの彼女の方を見ている。

 でも、助けたいと思った。

 さっき入っていった女。

 帽子を目深に被っていたが、あの顔は、あづさと同じではなかったか。

 何故、あの顔がもうひとつある?