憑代の柩

「私は八代が個人的に雇っている助手です。

 流行さんとは、お互い顔を知らない方がいいこともありますしね」

「個人的にね」
と俯きがちに、衛は嗤う。

「他にお前のような忍びの者は居るのか」

「誰が忍びの者ですか」

「くのいちにしては、そういう意味では使えなさそうだが」

 また一言多い衛の言葉を聞きながら、運ばれて来た紅茶に口をつける。

 器もロイヤルクラウンダービーだった。

「美味しい!」
と声を上げた。

 添えてある小さな可愛らしいチョコレートがまた美味しくて、これだけ追加したい気分になった。

 軽くカップに口をつけただけで、それを下ろした衛が言う。

「此処からいつも、外を見てた」

 視線をその言葉に沿わせるように、窓の外に流していた。

「咲田馨の顔の女は、何故、此処に現れる」

 誰かに問うように、そう呟く。