憑代の柩

「あのー、普通は花嫁を見たいとか言いませんかね?」
と顎に手をやり言ってみたが、

「あんた見てどうすんのよ。

 まあ、ドレスは参考にさせてもらうわ。

 自分の式のときのために」
と切り捨てられた。

「まあ、いいと思いますけど。
 でも、ちょっと離れてた方がいいですよ」

「なんで?」
と問われ、

「またなんか爆発したら困るじゃないですか」
と笑いながら答えたが、彼女らは一斉に眉をハの字にした。

「何事も起こらなくて、二次会でも出来そうだったら、呼びますよ。

 衛さんには、そのままの格好で居るように言っときますから。

 そのとき、私が居るかどうかはわかりませんが」
と言うと、水をかけた女が複雑そうな顔をしていた。

 なんかこう……平和だなあ、とその場を去りながら思う。

 この中のメンバーが、逆恨みで爆弾を仕掛けるとかなさそうだ。

 いやそもそも、なんで爆弾なんだ?

 もしも、奏を狙ったのなら、彼女一人をひっそり殺せばいい。

 私だったら、あんなやり方はしないが―― と思ったとき、

「ちょっと」
と声がした。

 水かけ女が追いかけてきた。