憑代の柩

 特に身だしなみを整えたかったわけではなく、部屋の構造を確認しておきたかったからだ。

 これからしばらくの間、暮らすはずの場所だから。

 だが、鏡に自分の姿が映ったとき、ぎくりとした。

 鏡の中の自分が全然違う表情をしていたように見えたからだ。

「あのー、衛さん」

 今は自分を映している鏡を見ながら、呼びかけると、なんだ、という相変わらずの横柄な声が、玄関から聞こえてきた。

「いえ。
 なんでもないです……」
と言いながら、ぐるりと他人の部屋を眺めてみる。

 縦に長い北側の部屋にはベッドも小さくカラフルなテーブルもある。

 此処がリビング兼寝室のようだった。