憑代の柩

 



 プロパンガスに引火したのか、爆発音とともに、天高く火の粉と煙が舞い上がった。

 離れた場所から私はそれを見ていた。

 軽く震える。

 これで自由になれたはずなのに。

 より一層、自分に絡み付いてくるもの狂おしいもの。

「……誰?」

 ふいにした声に、こちらがビクつく。

 木々の間から、こちらを見ているもの。

 ただ姿を見られただけなのに。

 何故だろう。

 その人物にはすべてを知られた気がした――