憑代の柩

「僕も要も同じだ」

「違いますよ。
 ……今、わかりました。

 貴方は要先生とは違います」
と言うと、彼はベッドの上に手をついたまま、俯いていた。

 やっぱりこのつむじ、つつきたくなるな、と柔らかそうな髪に巻かれたその部分を見下ろしていた。

 何処か近くで、救急車のサイレンが聞こえ、犬の遠吠えが聞こえてきた。

 ちらと洗面所の方を窺う。

 奏の霊はもう居なかった。

「……僕が殺したんだ」

「え?」

「僕の母は、僕が殺した。

 あの女が奏に、馨を売女呼ばわりして、罵っているのを聞いたからだ」