憑代の柩




「どうかしたのか?」

 要の予言通り、私の許に衛はやってきた。

「いえ、ちょっといろいろ考え事してて」
と言いながら、膝の上に置いていた調査書を見る。

 だが、視界には入っていなかった。

 考えていたのは、要の話だからだ。

 ベッドの上に膝を立てて、座っていた自分の側に、衛が腰を下ろす。

「衛さん。
 何も家具のない部屋がありますよね、お宅に」

 衛は答えない。

「あの部屋、なんに使ってたんですか?」

「……昔の俺の勉強部屋だ」

「なんで全部除けちゃったんですか?

 何もかも忘れたいから?」

「僕が馨を殺したと思っているのか?」

 膝で頬杖をついたまま、ああ、と言う。

「それなら、犯人はわかりました。

 やはり、殺したのは要先生だそうです」

 沈黙があった。

「……それだけか」

 こちらの反応に不満があるようだった。