憑代の柩


 


 無能な探偵だと思っていたが――

 運転しながら、要は横の茶髪の男を窺い見た。

 警戒心がないせいか、ベラベラ話してしまうな。

「意外と使えるのかもな」

 そうぼそりともらすと、え? と間抜け顔で見返してくる。

 その表情が、さっきのニセ『佐野あづさ』、いや、ニセあづさのニセモノの表情と重なり、笑ってしまった。

「あのー、あの人、一人にして大丈夫なんですかね」
と流行はアパートを振り返っている。

「大丈夫だ。
 暇もないのに、衛がほいほい現れるだろうから」

「……奏さんでは駄目だったのに、彼女はいいんですね。

 なんだか切ないですね。

 その挙げ句に、彼女は爆死したというのに」

「奏が馨の妹だったから、最初から衛にとっては、恋愛対象でなかったというのもあるけどな。

 申し訳ないという気持ちの方が強かっただろうから。

 それに、あの爆発、本当に、奏を殺そうとしたのかはわからないしな」

「どういう意味ですか?
 衛さんを狙ってたとか?」