憑代の柩

「こちらで警備は手配する。お前みたいに、目立って、声がデカいのじゃないのをな。

 見ろ、この探偵を。
 まったく目立たない」

 それはいいことなのだろうか、と思いながら聞いていた。

 要は彼を振り返り嗤って言う。

「あの花嫁は死なないよ。

 何度でも蘇るゾンビみたいな女だからな」

「要さんっ」
と呼び止める声を振り切り、要は強引に車を出した。

 慌てて兼平は手を離す。

 遠ざかる彼の姿を振り返りながら言った。

「いいんですか」

「いいんだ」
と言いながら、要は何事か考えているようだった。

 今の話の中に、彼も知らなかった新事実があったたのかもれしないと思った。

「……佐野あづさは両親を殺していた、か」

 そう呟いたが、それ以上語るつもりはないようだった。