憑代の柩

「単に洗面所で水を飲むのが厭だったんじゃないか?

 何処の水でも同じだと思うが、女は特に、そういううるさいことを言うからな」

「そのときも、そう解釈されたようですが。

 そのあと、あづさは通信制の高校に変わって、環境を一変させてるんですよ」

「何が言いたい」

「あづさは自分の両親を殺した。

 そして、その後、自殺したのでは。

 そのことを知った誰かが、佐野あづさと入れ替わった」

「なんのために」

「新しい戸籍を手に入れるためですかね。

 例えば――

 復讐をするために。

 咲田馨には、他所で暮らす妹が居たんですよね」

 要は溜息をついた。

「壮大な妄想だな」

「佐野あづさに会わせてください、もう一度」

 事件の被害者なのに、御剣のガードは堅く、警察といえども、簡単には会えないようだった。