憑代の柩

 やがて、
「おい、無能な探偵。
 運転はできるか」
と訊いてきた。

「ぼちぼちです」

 じゃあ、いい、と要は自分で運転席に乗った。

 出しかけていた携帯をしまう。

 運転を任せられるのなら、その間に何処かに連絡しようとしたようだった。

 だが、彼が車を出す前に、誰かが助手席の窓を叩いた。

 要はこちら側の窓を開け、自分は少し身を乗り出して、外に居る人物を見上げた。

「どうした、無能な警察」
と言う。

「そうそう。
 これは無能な探偵だ」
と余計な紹介までしてくれた。

 別の事件で見たことがある、兼平という刑事だった。

 まだ若いが仕事熱心で、感じもいい。

「事件は、花屋の店員の仕業ってことでしめるようだな」

「衛的にもその方がいいんじゃないですか。

 いろいろと探られたくないこともあるようですし」
と兼平は言ってくる。