憑代の柩

 まあ、鋭そうだしな、兼平さんとか、と思う。

「あのー、見張らせてるって、本当ですか?

 なんの気配も感じないんですけど」
と近くの塀を見た。

 その辺りに、ガードマンや警察が隠れているのだろうかと思いながら。

「警察は知らないが、うちは見張らせている。

 お前が接触してきた犯人をおめおめと取り逃がすこともあるだろうからな」

「どうしても私自身の心配はしたくないようですね。

 まあ、気分的にはわかりますけどね。

 私は、貴方の恋人を殺した犯人のひとりみたいなもんですから」

 だが、衛は、足許の砂利を見つめたまま、

「いや、どうだろうな」
と自分でもよくわからない風なことを言った。

 わからない男だ。

 死んでもなお、執着しているからこそ、彼女を殺した犯人を捜しているのだろうに。