暗闇の中で、足音を聞いた。
今日は妙に静かで、本当にいろんな物音が聞こえる。
きっと、心が研ぎすまされているから――
な、訳ないか、と思ったとき、軽い足音が部屋の前で止まった。
やがて、ガチャリ、と鍵を回す音がした。
部屋の主が帰って来たのかと思ったが、何故かその人物は、何度も鍵を回している。
どうやら、鍵が合わないようだ。
誰なんだ? と闇の中で緊迫する。
何度がガチャガチャやったあとで、諦めたのか、また足音は遠ざかっていった。
い、今のは誰だ。
確かめるべきだが、動けない。
立ち上がるなら、今すぐ、と思ったのだが、長く膝を曲げて、丸まっていたせいで、足が固まってしまい、立ち上がれない。
そのうち、また誰かの足音がして、慌てて、元の場所に戻る。
今度はガチャンッと鍵をコンクリートの上に落とす粗忽な音がした。
それで予想していたが、案の定、今度は奇麗に鍵が回った。



