憑代の柩

「どんな口の堅い看護師が居るのかと思いましたよ」

「うん?」

「佐野あづさ、秋川奏の部屋に、男の霊が出ます。

 知ってましたか?」

 その言葉に、彼は反応しない。

 彼女が奏だということはやはり、要も気づいていたようだった。

「知らなかったんですか。
 じゃあ、貴方は彼女の部屋には行ってないわけですか」

「俺と奏の間に何か関係があったと?」

 衛じゃないんだ、顔が同じならいいわけじゃない、と言う彼に、

「衛さんは、奏さんには指一本触れてないそうですよ」
と言うと、要は俯き笑った。

「本当に莫迦だな、あいつは」

 そんな彼に、奏の部屋に出る霊の正体を告げると、鼻で嗤う。

「それで、秋川奏には協力者が居るかも、ということを衛さんに匂わせると、何処かへ出て行きました」

「何故後を追わない」