車は少し走ったところで、その重厚な車が着くとも思えない、極普通の二階建てのアパートの前で止まった。
衛に促されるまま、花束を握り締め、降りる。
「此処がお前のアパートだ。
うちに住んでもいいんだが、犯人を誘い出すためにも、此処に住んだ方がいい。
いや、住め」
最早、何も突っ込むまい、と思ったが、言っていた。
「あの、私が抵抗できずに殺された場合は――」
「残念だったな」
一言かい、と睨むと、
「冗談だ」
と言う。
「お前には見えないだろうが、見張らせているし、警察もお前の動向に気を配っているはずだ」
と自分もまた気になるのか、ちらと背後に視線を流していた。
どうも衛にとっては、警察の動きは邪魔らしい。
情報だけは欲しいようだが。



