憑代の柩

「お前とあづさはそっくりにしたはずなんだが。
 何かが違う」

「そうですか。
 まあ、顔って性格が出ますからねえ」

 まだ見ていないあづさの顔を見てみたいと思った。

 同じ顔だが、確かに性格が違えば何かが違うのだろう。

 一卵性の双子でも、だんだん似なくなるように。

「そういえば、昨日、貴方のお友だちの兼平さんて方が私を見て言ってましたよ。

 貴方のことを未練がましいって」

 もしかして、バレてるんじゃないですか?
と言うと、余計なことをという顔をしたあとで、

「兼平が言っているのは別のことだ」
と衛は言った。

 詳しく訊いてみたかったのだが、なんだかしゃべりそうにはなかったし、運転手に黒塗りの車のドアを開けられ、そのままになった。

 庶民はこういうとき、急いで乗ってあげなくてはっ、という気持ちについなってしまう。

 やれやれ、と思いながら、なんとなくいい匂いのする車の座席に背を預けたとき、看護師たちの後ろ、ポーチの柱の陰に要が見えた。

 白衣を風に揺らし、相変わらず、何もかもどうでもよさそうな顔で立っている。

 目が合うと、まあ、頑張れ、というような表情で、小さく手を上げてみせた。