憑代の柩

「さっきの男は、此処で殺されたということか」

「ざっくりまとめると、そうですかね。

 佐野あづさがニセモノだと気づいた男が奏に近づき、奏に、例の毒薬のお試しとして殺されたってとこでしょうか」

 そこでちょっと考える。

「それにしても、死体をあの場所に隠したとして、どうやって、始末したんでしょうね」

 今、此処にはありませんから、と確認させるように言う。

「背負って出たとか?」

「秋川奏は私と背格好変わらなかったんでしょう?

 さっきの男は結構ガタイ良かったですよ。

 無理じゃないですかね。

 深夜引きずって出るといっても、なかなか誰にも見つからずにというのは、難しいと思いますね」

 協力者が誰か居たのかもしれないと暗に示唆する。

 衛は少し考えていたが、帰ると言い出した。

「そうですか。

 あの、そろそろドレスを買いに行きたいんですが、付いて来られますか?」

 衛に言われたからでなく、レンタルはよそうと思っていた。

 何が起こるかわからない。

 また爆死しても大変だ。