憑代の柩

「要が馨の代わりに送金していたのかもとも思ったが、どうもそうではないようだ」

 馨が居ないあとの奏に用はないということか、と言う衛に、

「そういう解釈だと、とんでもないロクでなしですね、要先生」

 単に居所がわからなかっただけでは? と苦笑いして返す。

「ともかく、彼女は僕に近づき、あの顔で揺さぶりをかけようとした。

 たぶん、馨と同じ顔の人間が側に居れば、僕が苦しむ、と思ったんだろう。

 結婚したいと言い出したときには、びっくりしたが、彼女が一生僕を苦しめたいと思うのなら、気が済むようにすればいいと思った」

 私は、そこで、うーん、と唸る。

「それ、奏さんが復讐したいという意図で貴方に近づいた、ってところから端を発してる発想ですよね」

 他に何がある?
と衛は言う。

 鈍いな、この男。

「最初は復讐のために近づいたのかもしれませんが。

 奏さんは、結局のところ、貴方が好きだったんじゃないですかね」

「なんでだ」

「なんでって。

 ……私の首を絞めに来たからですかね?」

「母じゃなかったのか」