憑代の柩

「あれはいつでも、お前の側に居るからな」

「いつも私の側に居るというと
 ……貴方しか思い浮かびませんが」

 誰がボディガードだ、という顔をする。

「見えても見えていないのさ。

 そのように出来るのが探偵だと言っていた。

 景色の一部に溶け込むのが」

「んじゃ、溶け込めないのは、三流ってことですね」
と笑う。

 流行が悲しげな顔をするさまが浮かんだので、途中で笑うのをやめた。

「秋川奏が佐野あづさを殺して、入れ替わったのなら。

 他の人間を殺すのもたやすかったかもしれませんね。

 一度やったら、殺人に対してのハードルが下がるでしょうから」

「そうかな。

 一度殺して、厭だったら、次を殺す気はなくなるんじゃないか?」

 その言葉に私は嗤う。

「やはり、貴方の方が人がいい」

 さて、と手を打つと、何故か衛は身構える。

「なんですか?」
と見ると、

「いや、普通、『さて』と言うと、謎解きが始まるだろうが」
と言う。