憑代の柩


 

 しかし、よくわからない。

 窓から吹き込む風に、一瞬嗅いだ匂い。

 それを懐かしく感じながら、私は小首を傾げていた。

 御剣衛の婚約者、佐野あづさが教会で爆死した。

 どうやら、教会で前撮りと衣装合わせをしていたところらしい。

 花屋の私が持っていった花に爆弾が入っていたから、責任を取れということらしいが。

「普通に犯人を探したのでいいと思うんですが。

 何故、あづささんの死体と私を入れ替えてまで、犯人を探す必要があったんでしょう」

 現場となった教会は此処から見える位置にある。

 救急車より早く到着していた要と、現場に居た衛がそれを決めたらしいが。

「行動、早過ぎですよね。

 幾ら警察が信用できないからって。

 そりゃあ、犯人はあづささんがまだ生きているとわかれば、すぐに狙ってくるでしょうが。

 最初はまず、悲しみに打ちひしがれたり、現実が受け入れられなかったりするものなんじゃないですか?

 すぐに犯人探しに頭が向きますかね?

 事故だとか思ったり」