憑代の柩

「すみませんね、本田さん。
 今日は引っ張り回しちゃって」
と言うと、本田は、

「いえ。
 なんだか懐かしかったです。

 あづさと行ったカラオケを思い出しました」

 一瞬、こちらを見つめ、じゃあ、と頭を下げ、行こうとして、足を止めた。

 振り返らずに言う。

「……ちょっと思ったんですが。

 あづさと居るより、貴方と居る方が、衛さんはリラックスしてる気がしますね」

「特に気もない女だからじゃないですか?」

「どうでしょうね」
と振り返り、本田はちょっとだけ、あの、人の良さそうな笑顔を見せた。

 あづさが何故、この頼りない本田と居たのかわかる気がした。

 まあ、あの衛とずっと居たら、疲れるよな。

 可愛いところもあるにはあるんだけど。