憑代の柩

「要らしき男がそれを助けたと。

 でも、それぎり彼女は消えた。

 警察は、僕の家庭教師と父は不倫の関係にあって、揉めたんじゃないかと言ってたよ。

 それで、渓谷に落ちたんだと」

「それが本当なら、要先生に、お父様に、随分、忙しい人ですね」

 なにを、と衛は嗤う。

「あの女、そういったことにはまるで興味が無い女で。

 よく要と恋愛できたなと感心してたもんだ。

 しかし、要が助けたのなら、何故出てこないのかが、気になっていた」

「実は、お父様との噂が本当で、要先生が殺したとか。

 或いは、お父様を殺したのがその先生で、要先生が庇ってる、或いは殺したとか」

「殺し率が高いわよ、あんた」
とこういうことに関しては、意外に平和主義的な麻紀が怯えたように言う。

「あのー、まさかなんですけど。

 もしかして、衛さんが、あづささんと結婚しようとしたのは、その先生にそっくりだからでは」

「だからそう言ってるじゃない」
と麻紀が言うが、

「いや、そういう意味じゃなくてですね」

「たぶん、お前が言おうとしている意味だ」

 最後まで言わせず、衛は言った。