何もかも見透かすような目でこちらを見つめ、 「衛」 ともう一度だけ呼んだ。 「僕は忙しいから、もう戻る。 何かあったら、呼んでくれ」 そう言い、彼―― 兼平庸一(かねひら よういち)の側を通り着過ぎた。