憑代の柩

「その人は今何処に?」

「知らないわよ。
 私が衛にフラれた後だもの。

 それ見たのっ」
と噛みつかれた。

 ……やぶ蛇だ。

「でも、待ってください」
と本田が手を上げる。

「あづさの顔は――

 本物だと思います。

 昔、写真を見せてもらったことがあるので、子供の頃の」

「本当に!?」

 そんな話は御剣衛からも聞いたことはない。

 そんなものがあるのなら、探偵の抱いた疑問に結論は出ていたはずだ。

 彼女の荷物の中に、何も残ってはいなかったのだろうか、と思った。

「その写真、持ってますか?」

「いえ――」
と言ったところで、麻紀が小さく手を挙げた。