憑代の柩

「あんた、なんであづさはあの顔にしたのかって言ってたわね。

 その顔はたぶん、昔、衛が好きだった女の顔なのよ」

 彼女は目をしばたたき、

「衛さんに好きな人なんて居たんですか」

 そういう情緒があるようには見えなかった、と人の良さそうな顔で、自分よりひどいことを言う。

「たぶんね。
 ちらと一緒に居るのを見ただけだけど。

 衛の表情から察して、あの女が衛の好きな人だったのよ。

 誰かと付き合ってるなんて話も親戚連中から聞かなかったから、結局、上手くはいかなかったんじゃない?

 あづさは、何処で知ったのか、その顔をコピーしたんでしょう」

「この顔が、衛さんの好きな人の顔」

 何故、自分が犯人を暴きそうだと思ったのかという問いに、その顔だったから、と答えた衛。

 その表情を思い出す。

「あのあづさよりは、あんたの方が似てるわ。

 同じ顔でも雰囲気がね。
 衛より年上みたいだったけど。

 人が良さそうな幼い顔立ちをしてた」