憑代の柩


 

 何がよかったですね、だ。

 今、自分が死にかけたのではないのか。

 わからない女だ、と麻紀は思った。

 わからない。
 そして、怪しい。

 あづさは単に胡散臭い女だったが、この女は本気で怪しい。

 途方もなく、何を考えているのかわからない。

 あづさが常人の範囲内で、つまり、何かの策略があり、己れの考えを読ませないようにしていたのだとすると、この女はちょうど真逆だ。

 何も隠す気はないらしいのに、何を考えているのか、さっぱりわからない。

 勘弁して欲しいと思いながらも。

 そう。これが最も困ったことであり、最も実害のあることなのだが。

 どうも、この女、嫌いになれなかった。

 あのときもそうだったな、と思う。

 ちらと見たあのときの女――

「麻紀さん?」
と名も無い彼女は呼びかけて来た。

「……あんたの方が似てるわ」

「え?」