憑代の柩

「やあ、麻紀さん」
と微笑み、手を上げると、

「やあじゃないわよ、なにやってんのよ、あんた」

 麻紀は足許に散乱した鉢を見、

「なにこれ、本田!?

 こいつが錯乱して、あんたを殺そうとしたの?」
と叫んだ。

「錯乱してるのは麻紀さんですよ。

 優しいんですね、意外と。

それと、とりあえず、この件に関しては、本田さんは犯人ではないです。

 本田さんは下に居て、私を助けてくれたので。

 この人が上から植木鉢を落とすのはかなり困難かと思われます」

「……じゃあ、誰なの?」

 麻紀とともに校舎を見上げ、その眩しさに目をしばたたく。

「いや、大丈夫ですよ。
 犯人はもうわかってますから」

 ただの霊現象です、と私は言った。

「落としたの、あのおじさんです」
と校舎の窓を指差す。