憑代の柩

「いえいえ、別にしたくはないです。

 ひとつずつ、確実に、可能性を潰していきたいだけです。 

 この人が犯人かな、という疑いは、わりとどの人に対しても抱けます。

 動機なんて、何処に隠されてるか他人にはわからないもんですから。

 だから、犯人である可能性を追求していくより、犯人でない可能性を明らかにしていった方が、早くに犯人にたどり着けるでしょ」

 だからだ、と衛は言った。

「え?」

「だから、僕が犯人なら、お前を使う意味がわからないと言ってるんだ。

 お前は必ず、犯人にたどり着く。

 莫迦じゃないからな」

 そう言い、いつの間にか赤で止まっていた車を発進させた。

「いや、こんな簡単に事件に引っ張り込まれて、利用されてる時点で、莫迦ですよ。

 それに、私を整形したときには、私が真相にたどり着きそうな人間かどうか、わからなかったはずでしょ。

 貴方は私と言う人間を知らなかったはずですから」

 私は意識を失い、寝ていただけなのだから。