憑代の柩


 


 帰りの車。

 慣れたように助手席のシートベルトをとめかけていたが、その手を止める。

「どうした?」
と気づいたように衛が訊いてきた。

「いえ。
 ちょっと気になることがあって」

「なんだ」

「この車は厭じゃないなあと」

 なんだそれは、という顔を衛はした。

「この車は厭じゃないんです。

 でも、要先生の車に乗るの、なんだかちょっと厭だったんです」

「……なんでだろうな」
と言いながら、衛は車を発進する。

「お前も要の車に事故の直後、乗ってるからじゃないのか?」

「えっ、そうなんですか?」

「教会は病院の近くなんだ。

 爆発があって、すぐに要は教会に行ってくれたらしい。

 救急車が来るのを待っていたら時間がかかるから、抱えられる程度の傷の人間は、要の車と、牧師の車で、往復して病院に運んだようだ」