憑代の柩

 衛は少し迷うような素振りを見せてから言った。

「要の婚約者も、うちの親に罵られて出て行ったんだ」

「なんで、要先生の婚約者が?」

「要はうちの母親のお気に入りだったからな」
と意味深に笑う。

 なんなんだろうなとその横顔を見ていた。

「じゃあ、送って行くから、少し待て」

「いいですよ。
 忙しいんでしょう?」
とその手許を見た。

「大丈夫だ」
と立ち上がった衛に、

「あ、今日も行きます? ドラッグストア」
と言ってみたが、行かない、と返される。

「可愛くないなあ」

 そう言うと、振り向いた衛は凄い形相で睨んできた。

 ……そこまで睨まずとも。