憑代の柩

 立ち止まり、そこを見つめていると、要は、

「そこには何もないぞ」
と言う。

「え?」

 戻ってきて、彼はドアを開けてみせた。

 本当に中には何もなかった。

 カーテンさえない。

「なんですか、この部屋。

 使ってない部屋なんですか?」

 それにしても、家具のひとつも置いてありそうなんもんだが、と思った。

「何か此処で犯罪があって、中の物を全部運び出したとか」
と言ってみたが、

「おかしな本の読み過ぎだな」
と一蹴される。

「その手の本はないな。
 衛の方が持ってるだろう」 

 要は部屋の電気を消し、ドアをきっちりと閉めた。

 要の部屋に行くと、本当にそこは書庫のようだった。

 一応、ベッドとと机らしきものはあったが、後はみな、作りつけの本棚とスチールの本棚だった。

 その片隅にあったものに目が行く。