憑代の柩

「へー」
と後ろ手を組んで言うと、

「本当にどうでもよさそうだな」
と言われた。

 いや、どうでもいいと言うわけでもないけどな。

 他に言いようがないだろうに、と思っていると、要は、

「暇つぶしに見るか? 本」
と言い出した。

「え? いいんですか?」

「読みたいのがあったら、持って帰れ。

部屋に鍵はかかってないから、適当に戻しておいてくれればいい」

 そのまま、要と並んで歩き出す。

 要の部屋は二階にあった。 

何人家族だったのか知らないが、まあ、確かにこれだけ部屋があったら、人に貸すほど余っているだろうな、と思う。

 廊下を歩いていて、ふと足を止めた。

 うっすら戸が開いている部屋が気になったからだ。

 中から光がもれている。

 そのせいかもしれない。

 他の部屋には、人の気配というものがないから。