憑代の柩

「佐野あづさの顔が整形だった。

 或いは、別人だった疑いがあることはご存知ですか?」

「まあ、一応な」

「結婚、止めなかったんですか?」

「物好きな、とは思ったが」

「二人とも、私にその話をしなかったのは、何故ですか?

 犯人の手がかりになったかもしれないのに」

「さあ。
 なんでだろうな。

 今回のことに関しても、途中からは衛が主導権を握ってたんで、俺は知らん。

 衛が言うまま、整形しただけだ」

 やれやれ、と思う。

 しかし、その無責任さが要らしい気もした。

「ところで、先生は何故此処に?」

「俺は昔、此処に住んでたんだ。

 今でも部屋が残ってるんで、たまに来る」

「そうなんですか?」

「置ききれない書籍はこちらに置いてるからな。

今では、遠くにある書庫みたいなもんだ」