憑代の柩

「先生、いらしてたんですか」

 要はこちらの手許を見、眉をひそめる。

「何を見てるんだ、趣味の悪い」

 そう言い、写真立てを取り上げると、衛と同じように伏せてしまう。

「……皆が伏せたら可哀想ですよ」

 そう言うと、要もまた何故か笑った。

「ところで、なにしに来た?」

「いや、衛さんが、こっちに住んだらどうかって」

「此処に?」

「それで、結婚式を強行するから、ドレスを作り直せって」 

 かなり話を端折って言ったせいか、要は眉をひそめる。

「やるのか。
 まあ、犯人をおびき出すにはいいだろうがな」

「衛さん、やらないと、あづささんに申し訳ないと言ってました。

 申し訳ないって表現が出るってことは、自分が原因だと思ってるんですかね?

 ところで、要先生が本当は計画の発案者だと訊きましたが」
と一気にまくしたてるように訊いた。

「お前のことか?

 ああ、俺は衛をなだめるために言っただけだったんだかな。

 まさか本当にやるとは思わなかった」

 厭じゃないのかな、死んだ女の顔をずっと見てるのは、と他人事のように呟いている。