頑丈そうな門と塀をくぐり抜け、暗闇に浮かび立つその屋敷を見上げたとき、私は反射的に腕をさすっていた。

 なんだか背筋が寒い。

「な、なんか居ませんか? 此処」

「居るかもな。
 俺には見えないから関係ないが」
と言い、衛はさっさと歩いていってしまう。

「い、いやいや、ちょっと待ってくださいよー」
と追いかけた。