「そんなに心配しなくてもだいじょーぶ!」


私は笑った。


「翠くんこそ気を付けてね!危険な仕事なんでしょう?」


「うん…」


「いってらっしゃい」


心配そうにこっちを振り向きながら歩く翠くんに「前向いて歩かないと転けちゃうよー!」と笑うと、「うん」と翠くんはようやく笑顔になって歩き出した。

と言っても満面の笑顔には程遠い、さみしいような不安そうな笑顔だけど。


でも、翠くんには不安そうな顔より、笑顔が似合う。


いつもニコニコ笑顔なのが翠くんなんだから。


「よっし、洗濯物しよう!」


おー、と一人拳を突き上げて気合いを入れた。



…私が持っている称号。


王女。


お城の中でお姫さまとして暮らしてきた私だけど、世間知らずの箱入り娘、というわけじゃない。


継母の女王さまに嫌われて、王城に仕えるメイドと同じ仕事をさせられたことも何度もある。


だからある程度の家事はできるんだ。