「みんな、準備できたか？」

「ああ」

「あれ？斧どこにいった？」

「そこにあるじゃん」


玄関口で準備をしているみんなは口々にそんなことを言い合っている。


やがて準備を終えるとみんなは「白雪姫」と私の名を呼んだ。


「知らない人が来ても家に入れるんじゃねぇよ」


「はーい」


「それが善良なひとに見えても、だからな」


「ほーい」


「本当に分かってんのか？」と眉をひそめるみんなに「分かってるわよ」と笑った。


「誰も家に入れなきゃいいんでしょ？」


「まあ、そういうことだけど」とざわめきが起きる。


「まあ、白雪姫もちゃんと分かったようだし、仕事に行くぞ」


おお！とみんなは声をそろえて家を出て行った。


「行ってらっしゃい！」


笑顔でそう見送ると、「白雪姫」と翠くんはただひとり振り返った。


「どうしたの？」


「いや、あの…本当に、気を付けて」


とても心配そうな顔をしている。