「本当は自分達で生活しなきゃいけないんだけど。どうしても俺たちだけじゃ難しいこともあってね」


翠くんは溜息を吐きながらそう言った。


「掃除や洗濯、料理も家事全般が、みんな苦手なんだ。白雪姫のようにテキパキと、なんてできなくて」


「翠くん…」


「でもだからって白雪姫に全部押し付けるのは駄目だよ」


まったく、困りものだよね。


翠くんはこびとのみんなを見渡しながら困り顔で笑う。


翠くんは、やさしい。

すごく、やさしい。

匿ってもらっている身である私のことを、こんなにも気にかけてくれている。


「仕事から帰ってきたら、家事、手伝うからね」


にっこり私に笑いかける。


やさしい陽だまりみたいな笑顔。


「おい、翠!何やってんだ!」


他のこびとが翠くんを呼ぶ。


「もう仕事に出る時間だぞ」


「あ、うん!今いくよ」


翠くんたちこびとのみんなはそれぞれに仕事の道具を準備していた。