39階にあるのは、関連ショップと中華レストラン。

ぐるりと見渡してから、エレベーターに乗って40階へと上る。


「……すごい」


360°全てガラス張りの空間は、その一言に尽きる。

フロアを見渡すと、筒のような椅子がいくつかあり、浴衣姿のカップルが仲良さそうに方を並べていた。

日没後の街は、想像していた以上に輝いて目に映る。

きらきら、夜の街に吸い込まれてしまいそう。


「綺麗ね……」

「……そうだな」


他の人なら、本当にそう思ってる?って、思わず聞いてしまいそうになる程、ぶっきらぼうな返答。

だけど昨日今日一緒に過ごして、もうわかってる。

真尋は感情をあまり表に出さない人なんだってこと。


それでいて尚、女子からの人気を集めてたんだから、ずるいわよね。


「屋上行くか」

「そうね」


屋内からの展望を早々に切り上げ、今度は最上部である屋上へ。

びゅう、と強い風が吹き、咄嗟に目を細めた。


「帽子被ってなくてよかった」

「確実に飛ばされてたな」