それを愛と呼ぶのなら

一頻り笑った後、ふと朝のことを思い出す。

……そうだ、


「ねぇ真尋」

「ん?」

「私のLINE、消して欲しいんだけど」

「……は?」


突然のお願いに、流石の真尋も驚いたらしい。

さっき私の真似をした時と同じように、深い皺が眉間に刻まれた。……人のこと言えないじゃないの。


「クラスメートから沢山LINE来て、鬱陶しいのよ。もう二度と会うこともないんだし、要らないじゃない?」

「……だからってなんで俺が」

「その方がすっきりするから」


お願い、と端末を真尋の胸に押しつける。

一度たりとも、クラスメートからのLINEは開いていない。

私のことを“友達”と呼ぶ上辺だけの人間からの言葉なんて、私にとっては目障りなだけなの。


「……いいんだな?」

「いいって言ってんでしょ、ほら」

「……わかったよ」


はぁ、と息を吐いて、真尋は私のケータイを慣れた手つきで操作する。

真尋も私と同じiPhoneだったから、アプリの削除くらい容易にできるんだろう。


「ほら、消したぞ」

「ん、ありがと」