それを愛と呼ぶのなら

落胆したのは、意外にも私よりも真尋の方。


「……そんなに観覧車乗りたかったの?」

「んなわけあるか。……お前が楽しみにしてたんだろ」


ふいっと顔を逸らして、真尋はぶっきらぼうにそう言った。

お前が、って……私のため……?


「何だよ、見んなよ」

「だ、だって……」


そんなことを言ってくれるなんて。

ドキドキと、鼓動が早まるのを感じる。

どうしよう、嬉しい。


「買い物は他で出来るとして……観覧車は……」


ブツブツと、ひとりで考え込んでしまう真尋。

特別な存在でも何でもない私なんかのために、そんなに考えてくれる真尋が、すごく素敵に思える。


「……そうだ。ねぇ」

「……何」

「さっき、案内板見てる時に気になったんだけどね。空中庭園ってのがあるみたいだよ」


不意に目にしただけの4文字。もしかしたら期待するようなものじゃないかもしれない。

でも、ここまでしてくれる真尋に、私も見せたいと思ったの。


真下に広がる天の川を、君に。